医局員コラム

大阪大学大学院セミナー“Vitiligo: results from the Bordeaux cohort”
ボルドー大学Alain Taieb教授
2012年11月27日(大阪大にて)
平成24年12月2日
種村篤医局長
11月24日―25日、第24回日本色素細胞学会学術大会in長浜で参加されていた、ボルドー大学Alain Taieb教授に27日大阪大学にて大学院セミナーをお願いしました。御参加頂きました先生方にこの場をお借りして御礼申し上げます。“Vitiligo: results from the Bordeaux cohort”というテーマで、尋常性白斑の国際的分類の現状や最近の病因に基づいた実際の症例提示をして頂きながら御講演頂きました。尋常性白斑は世界全人口の約1%(人種差はあまり言われていません)が罹患するほど普及率の高い疾患であるにも拘らず、国際間でコンセンサスを持つ診療ガイドラインが未だ確立しておりません。そこで、昨年よりTaieb教授らが中心となり、VGICC (Vitiligo Global Issues Consensus Conference)を結成され各国から代表者を集め、尋常性白斑に関してこれまで統一化されていなかった国際基準の策定がなされるようになりました。そこでも議題に挙げられている、白斑の病期分類・各病期において予想される病因案の提示、尋常性白斑の亜型の取り扱い、新しい治療法の提案などをお話しされました。ちなみに、邦国では、当科片山教授・山形大 鈴木民夫教授を中心とした策定グループにより、尋常性白斑診療ガイドラインが今年公表されました。今回の講演の中で、私個人的にはTNF-などのサイトカインの色素細胞に対する影響に興味があり、抗TNF-製剤の治療効果について質問をさせて頂きました。発症早期の尋常性白斑で効果が見込めるかもしれませんが、複合的なサイトカインの制御がより重要ということを改めて認識しました。また、今回本大学の大学院セミナーとして開催しましたが、近畿大学より大磯直毅先生にも御出席頂き、講演後の食事の場も含めて活発な討論をされていました。今後、このような機会を契機に、ボルドー―大阪間の尋常性白斑ネットワークの構築が成され、臨床研究情報・人材的交流がより積極的に行わるようになればと願っております。
平成24(2012)年12月2日掲載