医局員コラム

大学院生活の紹介
進藤翔子

 平成24年度卒業、平成26年度入局・大学院入学の進藤(鈴木)翔子と申します。大学院入学のきっかけと大学院生活について、この場をお借りして紹介させていただきたいと思います。

私は、皮膚科医になろうと決めた研修医2年目の夏頃から、臨床だけでなく研究もいつかやってみたいと思うようになりました。具体的にこれをしたいとかいう強い動機があったわけではなく、どんな疾患でも発症機序が分かると面白いしやる気が出てくるので、自分でもひとつのことを深く掘り下げてみたいと考えていました。ちょうど、阪大皮膚科の病院見学の際に、片山先生と種村先生からお誘いいただいたこともあり、思い切って入局と同時に大学院へ進学させていただきました。大学院へは通常、臨床を2年以上やってから進学するのが一般的だと思っていましたので、この段階での進学はとても不安でした。しかし、臨床はいつでもできる、良い皮膚科医になるにはどの道が正解ということはない、というアドバイスをいただきましたし、実際には同期と比べて遅れはとるものの臨床に携わる機会もそれなりにあり、充実しています。
 具体的には、週1回の大学の外来処置係(生検、光線治療、写真撮影など)、関連病院での外来業務、医局会への参加(写真カンファレンス、病理検討など)がDutyとなっています。他にも、大学のアトピー外来にて、アトピーや発汗異常のある患者様に様々な検査を行っています。皮膚科1年目なのでわからないことが多過ぎてつらいこともありますが、先生方に根気よく丁寧に指導していただき、少しずつ学んでいっております。誰かに聞くことができる環境は非常にありがたいものです。

 大学院生としてのイベントは、抄読会、ラボミーティングがあります。抄読会は、論文の検索もままならない私には難しくてついていけていませんが、研究内容に即した基礎系の論文が取り上げられ、お互いの知識を増やすことができます。ラボミーティングは英語で研究内容を発表するという、英語ができない私には重圧のかかるイベントで、間違った文法のまま突き進んでいってしまいますが、文法云々よりも研究に関することに重点が置かれ、新しいアイデアをいただけたり、的確なフィードバックをしてもらえるので、とても勉強になります。

 研究のほうは、室田先生に御指導していただきながら、口唇のバリア機能や唾液のペプチドについて調べています。他にも、lipid raftに関する研究に取り組む予定になっています。研究内容によっては、皮膚科の実験室で完結するのではなく、他大学へ短期出張させてもらったり、阪大の他学部の研究室と連携をとったり、共同研という施設を利用したりと、実験を進めるうえでの環境は恵まれています。しかし、医学科から大学院に行かれる方は大体みなさんそうだと思うのですが、理系の実験をほとんどしたことがなくて、最初はものすごい抵抗がありました。特に私は理系科目が苦手だったので、実験の仕組みがなかなか理解できず、難渋することが多いのですが、とりあえず手を動かしてみること、やってみることで少しずつわかってくるのではないかと思っています。蛋白の電気泳動、ウエスタンブロット、免疫染色、電子顕微鏡など、今まで聞いたことしかなかった手技を実際に自分の手でやっていくのは、楽しいですし、論文を読むときにイメージがしやすくなります。最後に、実験時間の確保についてですが、病棟受け持ちと当直が無く、比較的スケジュールをたてやすい環境だと思います。周りの先生方には感謝してもしきれません。

先日、阪大主催の日本研究皮膚科学会(JSID)に出席させていただいたのですが、発表はすべて英語で、研究テーマも多岐にわたっており、こんなに多くの先生方が日々研究に勤しんでおられるのかと感銘を受けました。大学院生は学会や研究会に参加する機会が多くなりますので、自然と意識が高まります。

 まだまだ結果も出せていませんし、ご覧の通りの未熟者ですが、優しくて尊敬できる先輩方、明るくて楽しい実験室の雰囲気に助けられて、頑張ることができます。マイペースなのでこれからも周りに御迷惑をおかけすることかと思いますが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


平成25(2014)年12月18日掲載