医局員コラム
Outcome measures vitiligo consensus conference
Venue:Surfcomber hotel. Miami USA
2013.2.28

大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学
皮膚科教授 片山一朗


 尋常性白斑の診断、分類、治療目標とその評価法に関する世界の共通指針を作成する目標のTASK Force Meeting の第1回会議が2010年の世界皮膚科学会(ソウル)で開催され、その後世界色素細胞学会(2010、ボルドー)、欧州皮膚科学会(2012、プラハ)と開催され、今回AADにあわせてマイアミでその4回目の会議が開催された。この会議は欧州の尋常性白斑の診療GL作成委員会を母体に発足し、欧州、米国、アフリカ、豪州、西アジア、東アジアの研究者が集まり、討論が繰り広げられ、世界の尋常性白斑のGLや治療指針の方向性を知るには重要な会議で、第一回から参加している。ボルドーの会議で新しい分類基準が策定され、PCMR誌に発表された。今回は予想される新たな色素異常症の治療薬の評価のための国際的な基準の作成を目的とし、今後何回かの会議を経て2014年の国際色素細胞学会で策定される予定である。アトピー性皮膚炎でも同様の試みが英国のHywell Williams 教授を中心にHOMEI, HOMEII会議として開催され、今年4月にはSanjegoでHOMEIII会議が開かれる。世界水準の診断基準や治療評価の進展を理解するためには日本からも積極的に参加していくことが必要で、参加希望の方はHOMEIIIのホームページを参照して下さい、(白斑会議はSemiclosed)。今回の会議では以下の6項目の評価について今後議論を深めることが決まった。

1Repigmentation
2Cosmetically acceptable repigmentation
3Quality of life
4Maintenance of gained repigmentation
5Cessation of spread
6Side effects and harms

 ただ部位による反応性とその評価法、医療費との兼ね合い、人種差、研究レベルの国情の差などハードルは高そうでうまく纏めればと願っている。また現在我々が進めているHVJ—Eによる悪性黒色腫の治療中に白斑が出現するが、今後有効な免疫療法が確立すれば、逆に患者QOL改善のための白斑の治療とその評価法も必要と考える。ちょうどこの会の開催時期に日本皮膚科学会の白斑の治療GLの英語版がJ Dermatologyに発表され、Taieb教授にもPDFを送付した。
 帰路NYのコロンビア大のAngella Christiano教授に来年、大阪大学が担当するJSIDのTanioku Kihei Memorial Award の講演をお願いし、また表皮水疱症のモザイク細胞を用いた骨髄細胞移植研究の進展を討論するため、彼女のラボに留学中の梅垣先生とお会いでき、今後の方向性を確認することができた。
丁度前日に結婚されたばかりの梅垣先生はご多忙の中、お世話になり御礼を申し上げる次第である。
(会場スナップ)
 

MGHのJohn Harris先生と白斑のマウスモデルを作成された若手研究者

 大阪大学皮膚科 片山一朗
2013年3月12日